ある朝、社長のコーヒーはこうして冷めていく(注:イメージです) 中野区・杉並区の軽貨物会社ブログ
ある朝7時半。
いつもなら、仕事に取りかかる前に一息つくための大切な時間。
事務所の窓を少しだけ開け、淹れたてのコーヒーの香りを楽しみながら、今日の予定を頭の中で組み立てていました。
中野・杉並で軽貨物の会社を経営していると、なかなか“優雅な時間”というのは持てなくなるのですが、それでも朝のひとときだけは、社長である私にとって小さな贅沢です。
その時でした。
机の上に置いていた社用携帯が突然鳴り響き、静かな朝の空気が一瞬で現実に引き戻されました。
運送業に“営業時間”という概念はあってないようなものです。早朝・深夜・土日祝、いつトラブルが起きてもおかしくありません。だからこそ、なるべく電話には出るようにしています。嫌な予感というのは当たるもので、電話の向こうから聞こえてきたのは、ドライバーさんの緊迫した声でした。 「通勤に高速を走っていたら、急に出力が落ちて止まってしまいました。どうしたらいいでしょうか……」
文字通り“緊急事態”。コーヒーは飲む暇もなく、脳のスイッチが一瞬でフルスロットルに切り替わります。
◆まずは安全確保が最優先
こういう時に一番大切なのは、車ではなく人の安全です。
すぐに私は確認しました。
「路肩に停められている? 三角表示板か発煙筒は出した? 車外に安全に退避できている?」
幸い、ドライバーさんは異変を早めに察知してくれたようで、速度がみるみる落ちてきた段階で路肩に寄せ、停車した直後に完全にエンジンが止まったとのことでした。
大事故に繋がらなかっただけでも本当に良かったと胸を撫で下ろしました。
◆実は…数日前から“前兆”はあった
実はこのトラブル、いきなり起きたわけではありません。
4日ほど前にオイルチェックランプが点灯し、その相談を受けていたのです。
確認してみると……驚きました。
エンジンオイルがほとんど入っていない状態。
ドライバーさんに聞くと、
「2日後にオイル交換する予定だったので、足すのはもったいないと思って……」
との返答。
……いやいやいやいや。
軽貨物ドライバーとして、いや車を扱う人間として、エンジンオイル管理は最重要項目。
それをケチってはいけません。オイルがなければエンジンは焼き付きます。人間でいえば血液が不足しているような状態です。
オイルがほとんど空だったため、その時点でエンジンはすでに少し音が変わっており、私は急いでオイルを補充。なんとか応急処置的に持ち直し、その後のオイル交換でも「まあギリギリ大丈夫じゃないか」と言われた矢先の出来事でした。
◆修理工場もなく困っていたドライバーさんをサポート
ドライバーさんに、普段利用している修理工場があるかを確認したところ、
「いや、特にないんです……」
とのこと。
そこで当社の付き合いのある修理工場へレッカー移動することを提案。
レッカー費用については、まず保険会社へ連絡し、
「保険の無料レッカーが使えるか?」
を確認してもらい、結果的に無償での移動が可能になりました。
こういう時、保険の内容をきちんと把握できていないドライバーさんも多いので、私はできるだけサポートします。事故や故障は精神的にも焦るものなので、判断を助けてあげるのも会社の役目だと考えています。
◆修理工場からの結果は…やはり“重症”
工場へ運んで診断を受けたところ……
予想通り、エンジンの状態はかなり悪いとのこと。
修理費もそれなりにかかる見込みで、正直、胸が痛くなりました。
金額の詳細は長くなるので次回の記事で詳しく紹介しますが、
私はいつも可能な限り、知識と経験をフル動員してドライバーさんをサポートします。
◆稼働の穴は最小限に。代車も即日で手配完了
トラブル当日はその車両の稼働に穴が空いてしまったものの、その夜には代車を貸し出し、翌日以降の仕事に支障が出ないよう手配を完了。
ドライバーさんは驚いた様子で、
「ここまでやってくれる会社って中々ないですよ。あっても普通はマネージャーとかでしょう? 社長自ら対応してくれるなんて……」
と言ってくださいました。
もちろん、私は特別なことをしたつもりはありません。
ただ単に“困っている人がいるなら助けたい”というだけの話です。
でも、その言葉をもらった時、少しだけ胸の奥が温かくなりました。
当社のポリシーである
「関わった人みんなを幸せにする」
──それが少しだけ形になったのかな、と。
コーヒーはすっかり冷めていましたが、その朝は悪い気分ではありませんでした。(笑)
◆次回予告
気になる修理費用の総額、
そして今回のケースから考えるエンジンオイル管理の重要ポイントについて、次回のブログで詳しくご紹介します。
軽貨物業界に関わる方にとって、きっと参考になる内容ですので、ぜひ読んでいただければと思います。
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