苦い経験 中野区・杉並区の軽貨物会社ブログ
中野・杉並エリアで軽貨物事業を営んでいると、「人」と「現場」と「約束」のバランスの難しさを日々痛感します。今回は、弊社の事業展開の中で起きた、非常に悔しく、そして学びの多かった出来事について書かせていただきます。
今回、新たにお取引を開始するクライアント様の営業所に、弊社のドライバーさんを一名配属しました。この方は業界未経験ではあるものの、とにかく真面目で誠実。ここまで几帳面で、しっかりとした覚悟を持ってこの仕事に向き合おうとしている方は、正直この業界ではなかなか出会えないレベルでした。
実際、契約に至るまでにも一か月以上悩まれていました。それでも「やってみたい」と決断され、弊社としても「ぜひ一緒に頑張りましょう」と迎え入れた経緯があります。そのため、初稼働の日を迎えるにあたっては、私自身も非常に楽しみにしていましたし、何とかこの方に成功体験を積んでいただきたいという思いが強くありました。
クライアント様とは事前にかなり綿密な打ち合わせを行っており、「最初は50個程度の荷物からスタートし、徐々に慣れていきながらエリアを広げていく」という話で合意していました。担当者の方も非常に丁寧で、雰囲気もよく、「これは良いスタートが切れそうだ」と感じていました。
しかし、現実はそう甘くはありませんでした。
迎えた初日。私は前泊して、ドライバーさんは気合を入れて現場に入ってくれました。ところが、現場で待っていたのは、事前の打ち合わせとはまったく異なる状況でした。
現場責任者の方から渡されたのは、「三月一週目の火曜日で荷物が多い」という前置きとともに、到底新人が対応できるとは思えない量とエリア。明らかに「教えながらできる範囲」を大きく超えていました。
当然、「これは無理です」と伝えたところ、「ではこの範囲と時間指定だけ持ってください。あとは何とかします」と調整が入りましたが、その言葉の裏には「人がいないから無理やりやってもらう」というニュアンスが含まれており、正直なところ非常に不安を感じるスタートとなりました。
すぐに打ち合わせを担当していた方に連絡し、「話が違う」と伝え、対応をお願いしました。担当者の方は真摯に受け止めてくださり、いろいろと手を打っていただけるとのことでした。
「夜までにはフォローを入れる」とのことでしたが、結果的に連絡は来ず、こちらから再度確認したところ、「適当なタイミングで中止しても構わない」「未配達が出ても問題ない」という指示をいただきました。
ただ、現場で頑張っているドライバーさんの姿を思うと、簡単に途中で投げることもできませんでした。翌日に回せばさらに大変になることも分かっていました。結果として、その日は昼休憩も取れないまま、21時半頃まで配達を続け、なんとか完了させました。
それでも、終わった後にドライバーさんが言ってくれた「大変だったけど面白かったです」という一言に、どれだけ救われたか分かりません。この一言があったからこそ、「次は絶対に良い環境を整えよう」と強く思いました。
その日のうちに、改めてクライアント様へ「少なくとも数日は50〜60個程度で慣らしてほしい」とお願いをしました。そして翌日。距離はありましたが、心配で仕方なく、昼過ぎに現場の様子を見に行きました。
すると、前日の状況とは打って変わって、約束通りの物量で、ドライバーさんも非常に生き生きと配達をしていました。その姿を見て、心から安心し、「これなら大丈夫だ」と思いながら帰社しました。
しかし、問題はその後に起きていました。
後から聞いた話では、そのタイミングで現場側から「そんな数じゃ困る」「もっとやってもらわないとこちらが回らない」「上と現場の約束は違う」といったプレッシャーがあったとのことでした。
現場と上層部の認識のズレ。この業界では決して珍しい話ではありません。しかし、それを現場に入ったばかりの新人ドライバーに直接ぶつけてしまうとどうなるか。今回、その結果を痛感することになりました。
その後も違和感のある出来事が続いたようで、結果としてそのドライバーさんは退職を選ばれました。
正直、非常に悔しいです。
あれだけ覚悟を持って入ってきてくれた方を守りきれなかったこと。そして、「辞めたい」と思う前に相談してもらえる関係性を築けていなかったこと。これは完全に私自身の反省点です。
もし、もう少しこまめに連絡を取っていれば。もし、小さな違和感の段階で拾えていれば。もし、もっと早く現場に介入していれば。考えれば考えるほど、「できたこと」はたくさんあったように思います。
クライアント様も、後からは「改善する」「場合によってはエリア変更も可能」とおっしゃってくださいました。しかし、それを伝えられた時には、すでにドライバーさんの気持ちは固まってしまっていました。
タイミングの重要性を、これほどまでに強く感じたことはありません。
今回の件を通じて、改めて感じたのは、「約束を守ること」の大切さと、「現場との温度差をどう埋めるか」という課題です。そして何より、「ドライバーさんを孤立させない仕組み」を作る必要性です。
弊社としても、今後は新規案件に関してはこれまで以上に慎重に進めるとともに、稼働開始後のフォロー体制を強化していきます。具体的には、初日から数日間は必ず定期的に連絡を取り、状況の把握と早期対応を徹底していくつもりです。
軽貨物の仕事は、シンプルに見えて非常に奥が深い仕事です。そして、人がすべての仕事でもあります。一人ひとりのドライバーさんが安心して働ける環境を整えること。それが結果として、お客様へのサービス品質にもつながると信じています。
今回の経験は決して無駄にしてはいけないものです。むしろ、今後の弊社の成長のために、しっかりと活かしていかなければならないと強く思っています。
最後に、今回ご一緒できたドライバーさんには、心から感謝しています。短い期間ではありましたが、その真面目さと責任感は、間違いなく弊社に良い影響を与えてくれました。
この悔しさを糧に、より良い会社づくりを目指していきます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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