運送業で働くうえで一番大事なこととは何か 中野区・杉並区の軽貨物会社ブログ
こんにちは。中野・杉並エリアを中心に軽貨物事業を営んでいる社長です。
私はこの業界に身を置く前、宅配最大手と呼ばれる会社で10年以上勤務してきました。現場でハンドルを握る側も、管理する側も、両方の立場を経験してきた中で、はっきりと「これは間違いない」と言えることがあります。
それは、運送事業に関わるすべての人において、一番大事なことは何かという問いへの答えです。
最近、軽貨物業界では規制強化の話をよく耳にします。
新規参入時の講習が必須になった、教育体制が求められるようになった、アルコールチェックが義務化された、運行記録の保管が厳しくなった……。
「昔より厳しくなった」「やりにくくなった」と感じている方も多いかもしれません。
しかし私は、これらは突然厳しくなったのではなく、必然だったと思っています。
なぜなら、あまりにも「考えずに」開業してしまう人が増えたからです。
軽貨物は比較的参入しやすい業種です。
車があり、仕事があり、やる気さえあれば始められる。
その反面、「運送業とは何か」「命を預かる仕事だ」という認識が十分でないまま、ハンドルを握ってしまう人も少なくありません。
では、ここで改めて考えてみたいと思います。
運送事業に関わる人において、一番大事なこととは何でしょうか。
- A地点からB地点へ、誰よりも早く荷物を運ぶこと?
- コストをかけず、効率良く回れること?
- 誤配がなく、対応が丁寧でクレームを出さないこと?
- 新規荷主をどんどん開拓できる営業力?
どれも正解です。
どれも大切です。
稼ぐという点においては、間違いなく重要な要素です。
しかし、最優先ではありません。
私が10年以上の現場経験から学び、今も変わらず一番大事だと考えていること。
それは、
「一日一日、丁寧に、無事故で運転すること」
これに尽きます。
よく、弊社に所属してくれているサポーター(ドライバー)さんたちに、私はこう話しています。 「もし万が一、荷物を壊してしまったり、時間に遅れてしまったとしても、ほとんどの場合は一緒に謝りに行けば何とかなります。お詫びをすれば済むことが多いです。
でも、もし人をケガさせてしまったらどうでしょうか。場合によっては一生謝り続けなければいけないし、何より誰も幸せにならない。だから何よりも安全運転を徹底してください。」
これはきれいごとでも、理想論でもありません。
現実を知っているからこそ、心からそう思っています。
いくら配達が早くても、
いくら営業成績が良くても、
事故を起こすドライバーは、この世界では生き残れません。
それは会社としても同じです。
事故が多い会社に、仕事は集まりません。
信頼は一瞬で失われ、取り戻すのに何年もかかります。
弊社には「関わった人みんなを幸せにしたい」という理念があります。
ドライバーさんも、荷主さんも、その先のお客様も。
でもこの理念は、毎日安全に運行してくれるという信頼関係があってこそ、初めて実現できるものだと思っています。
だから弊社では、初日は必ず私自身が添乗し、業務研修を行います。
荷物の扱い方だけでなく、運転の仕方についても指摘することがあります。
正直、運転経験が長い方ほど、不快に思う方もいるかもしれません。
「今さら言われなくても分かっている」
そう感じる気持ちも理解できます。
ただ、私は前職で「乗務許可を出す側」の経験もしてきました。
事故を起こした後の現実も、たくさん見てきました。
だからこそ、素直に聞いてほしいと思っています。
事故は「たまたま」ではありません。
日々の運転の積み重ねの結果です。
少しの油断、少しの焦り、その積み重ねが大きな事故につながります。
今年も残すところ、あと数日となりました。
一年を振り返って、無事に終えられたことは、決して当たり前ではありません。
無事故無違反で一年を終え、新しい年を気持ちよく迎えられること。
それこそが、運送業に携わる者として何よりの成果だと思っています。
これから軽貨物業界に入ろうとしている方、
今まさに現場で走っている方、
そして事業を運営する立場の方。
どうかもう一度、**「一番大事なことは何か」**を考えてみてください。
答えは、シンプルです。
今日も無事故で帰ってくること。
それ以上に大切な仕事の成果は、ありません。
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