年末繁忙期に思うこと 中野区・杉並区の軽貨物会社ブログ
こんにちは!
中野・杉並区を中心に軽貨物運送業を営んでいる社長です。今年もいよいよ年末の繁忙期に突入しました。毎年のことながら、この時期は本当に気が抜けません。そんな中、12月4日に「佐川急便が荷物の受託を一部停止した」というニュースが流れ、業界全体に衝撃が走りました。ニュース自体は短いものでしたが、物流の現場にいる人間としては「とうとうここまで来たか」という思いが強かったです。
今年は特にブラックフライデーセールが完全に日本に定着してしまい、その後すぐにサイバーマンデー、お歳暮、企業・店舗のカレンダー発送…と、あらゆる荷物が“一点集中”する構造になっています。ブラックフライデーの荷物が落ち着く前に、お歳暮のピークが来て、そこに年末の挨拶品まで加わる。これでは物量があふれるのも必然です。現場からは「今年は例年以上に荷物が多い」という声を多く聞きますし、私自身の周りの仲間たちも口をそろえて「さすがに限界が近い」と話しています。
◆物量が多い=儲かるという誤解
外から見ると、「荷物が多い → 荷主も運送業者も儲かる」と思われがちです。もちろん、荷物が少なければ売上は落ちます。しかし、物流というのは“量が増えれば比例して儲かる”単純なビジネスではありません。
運送会社というのは、繁忙期でも通常期の1.5倍程度の到着量を想定して計画を立てるのが一般的です。(あくまで私の個人的な感覚ですが。)
しかし、今年はその想定をはるかに越えてしまっています。
通常100個ほど届くエリアに180個も来ている、という声も聞きました。これは単純に1.8倍です。配達する側としては、1.5倍なら何とか“工夫して回す”こともできますが、1.8倍にもなるともう限界ギリギリです。
私たちのような軽貨物ドライバーは、時間ではなく「人間の体力や判断力」によって業務量が決まります。荷物が1.5倍なら、多少きつくても乗り越えられる。しかし、1.8倍、時には2倍近くになると、“事故やクレームのリスク”が一気に跳ね上がります。
現場では、
- いつもより焦る
- 確認作業が雑になる
- 安全確認を端折ってしまう
- 無理して持ちすぎる
- 積み込みが乱れる
こうした“崩れ”が、確実に起きます。
だからこそ、今回佐川急便が受託を停止したという決断は、外から見ると大胆に見えるかもしれませんが、物流の現場を知る人間からすると「勇気ある判断」だったと思います。荷物を無理に受けてドライバーを疲弊させ、事故や重大なトラブルが起きてしまえば、会社としても社会的信用を失います。何よりドライバーの身に危険が及びます。
◆常に一定の物量が理想だが、現実はそうはいかない
運送業として一番ありがたいのは“定量の仕事”です。年間を通してほぼ同じ量が流れてくれれば、計画も立てやすいし、ドライバーも安定して働ける。人件費や車両費の管理もしやすい。
しかし現実は、年間の多くが通常量で、年末に一気に物量が集中します。
特に11月後半~12月は、ブラックフライデー、お歳暮、企業の年末挨拶、通販の年末セール…と、あらゆるものが重なるため、どうしても“局所的に爆発する構造”なのです。
繁忙期があること自体は悪くないのですが、短期間に集中しすぎると、それを処理するために必要な人員・車両・倉庫スペース・事務処理などのコストが跳ね上がります。結果的に、繁忙期だからといって利益が大きく増えるわけではありません。むしろコスト増で手元に残らないこともあります。
◆忙しいと失われる“確認行為”の怖さ
年末になると、どうしても全員が忙しくなります。忙しくなれば、何かを短縮したくなる。これは人間の本能です。しかし、その「短縮してしまう何か」が非常に危険です。
- 安全確認
- 宛先確認
- 伝票のスキャン
- 荷物の置き場所の確認
- お客様への声かけ
- 周囲の交通状況の把握
こうした“確認行為”は、日常では何てことない作業ですが、繁忙期には真っ先におろそかになります。そして、その“ちょっとした油断”が、大事故や大きなクレームを生むのです。
配達が遅れたり、荷物を壊してしまったり、その程度なら謝罪して賠償すれば済みます。会社としても処理できます。しかし人をケガさせてしまったら、それは一生にわたって償えないことです。金銭では解決できません。
だからこそ、この業界において最も尊いのは「事故やクレームを起こさず、長年安全に仕事をしている人」です。 配達が速いことが評価されると思っている方もいますが、それは誤解です。
◆「俺は300個できるから代わりがきかない」は本当か?
たまに「俺は300個配れる。俺の代わりはいない」というドライバーがいます。確かに、300個回せる技術や体力はすごいことです。しかし、クライアントの立場からすれば、150個を確実に・安全に・正確に配れるドライバーを2人入れればいいだけの話です。
物流において最も価値があるのは「速さ」ではなく、「安全性と安定性」なのです。
速くても事故を起こす人より、
遅くても事故なく丁寧に仕事をする人のほうが、
クライアントにとっても、会社にとっても、社会にとっても価値が高い。
これは現場を見続けてきた私の実感です。
◆今年の繁忙期を迎えて、私が改めて思うこと
今年の物量は、明らかに昨年を上回っています。おそらく今後もブラックフライデーは定着し、ネット通販は増え続け、物流の負担はさらに増すでしょう。
その中で、私たちが絶対に忘れてはいけないのは「安全第一」です。
荷物は壊しても弁償すれば済む。
配達が遅れても謝れば済む。
しかし、人を傷つけてしまったら、何も取り返せません。
会社のためでも、クライアントのためでもなく、
自分自身と家族のためにも、
安全確認を最優先に仕事をしていくことが何より大切だと思います。
そして、無理な物量が集中する構造は、企業も社会も一緒に考え直していく必要があります。
荷受停止は決してマイナスではなく、「安全を守るための正しい判断」だと私は考えています。
今年の年末も、全てのドライバーが無事故で乗り切れることを願っています。
そして、この業界で長く働き続けられる環境づくりを、私自身も引き続き考えていきたいと思います。
◆さいごに
弊社では、パートナー様の信頼できる業務により、クライアントから「もっと求人してほしい」「人を入れてほしい」といわれています。 実際、優先的に求人の話をされることもあります。 是非皆さんも弊社と一緒に成長していきませんか? よろしくお願いいたします。
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